鳥海山
2.236m

2011.08.04〜07
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初めての東北の山、しかも、夜行バスで行く事になりました。これも初体験。「鳥海山」はイメージ的には静かで、緑に覆われ、水も豊富で、さぞかし快適な登山が出来るだろうと、靴も皮製のではなくて、低山用の布製の登山靴にしました。ネットで予備知識も多少仕入れて行ったのですが、登ってみないと山って分からない物ですね。反省点多々有る山行となりました。
 
 



夜行バス「夕陽号」内部

8月4日(木)丸の内オアゾ前、22:25出発
バスは一人掛け三列のゆったりトイレ付き。
それでも、足掛けが具合悪くてイマイチ快適ではない。
バスの窓は外の明かりが入らないように
カーテンが隙間無く覆っている。

浴衣を着た変な外人さんも乗っていました。

座席に座った途端眠くなってしまった。
 
 
  

酒田庄交バスターミナル

8月5日6:20山形県酒田着、天気は快晴、しかも、
東京より暑い!
これよりバスを乗り継いで登山口の鉾立まで。
8:03発まで時間が有るので
待合室で荷物の整理と朝食、着替えをして、
余分な荷物はロッカーに入れる。
 
 地元の人が青森行きのバスに乗り込む。
今日は「ねぶた」見物に行くそうだ。
 
 

鉾立バスターミナル

「鳥海ブルーライン」を、左手に日本海を眺めながら走って鉾立に着きました。
約1時間15分の道のりでした。
料金は¥1890

トイレをすませ、水を汲んでと思ったら、水場なんて何処にも無くて
トイレの水を汲んでいた人もいましたが、後で見たら「飲用不可」の張り紙が・・・
仕方なく案内所で拝み倒して少しの水を恵んでもらいました。


 
 

象潟登山口
9:35

鳥海山は登山口が8箇所も有ってこの鉾立にある
象潟口は最も一般的らしい。
お地蔵さんが箒を持っていました。
 
 
 
 

奈曽渓谷
9:48
  
コンクリーートの階段で始まった登山道はまもなく
展望台に着きます。
雄大な原生林と
息を呑むような渓谷の美しさが迎えてくれます。

イチヤクソウ


 
  

左に奈曽谷、右に日本海を眺める登山道は、広く石が敷き詰められて歩きやすい快適な道です。
登山道脇にはアザミをはじめ高山の花々が目を楽しませてくれます。


 
  
 

ウゴアザミ
 

 
  
 

ハリブキ

ガスが掛かっていて山頂を望む事は出来ない。
しかし、暑い!東北の山だからモット涼しいかと思っていたのに。



 
  


ニッコウキスゲの群落
 
 ニッコウキスゲの花はもう終りを迎えていました。

 
 
 
 
  
 
 


あと少しで御浜神社
11:43

顔を上げて周りの景色を楽しむ事が出来ないくらいに暑かった!



  
  
  
     

11:53
 
御浜神社の鳥居が見えてきました。
やっと着いた。暑かった〜!
  
  
  
  
      

 
  

ハクサンシャジン

神社の廻りは花盛りでした。
 
 
 

御浜神社

僅かな軒下の日陰でお湯を沸かしてカップ麺とおにぎりの昼食。
ここは宿泊も出来る山小屋でも有るんですね!
 
 
 

 
   
  

鳥海湖(鳥の海)

神社の裏に行ってみると眼下に鳥海湖(鳥の海)が青い水をたたえていました。
右手にこんもりと見えるのは鍋森(1652m)ですね。
時折、ガスが掛かっては消えて視界をさえぎります。
 
 



   
     
  

12:50

御浜神社から稜線に出てからの登山道はお花畑の広がる
気持ちの良い道が続きます。


 
  
   
       
 

ここを登りきると眼前に山頂が? 
 
 




       
   
     
 
 

13:07

ガスの晴れ間に少しだけ山頂が姿を現しました。
ここを下ると御田ヶ原分岐で鳥海湖畔を通ってきた道と合流し、きついのぼりの八丁坂が始まります。

こんな開けた道を歩いているのに、兎に角暑くて、行きかう人毎に「暑いですね!」
の挨拶・・・・
 


 
    
   
  
 
  

登山道には今を盛りと咲き競う花々・・・
 
 

    


       
    
   
       
 
 
鳥海山は山形県と秋田県に跨る活火山で、出羽富士、秋田富士とも呼ばれている。東北の最高峰であり富士山型の独立峰であるが
新旧二つの二重式火山が複合した物で、侵食の進んだ「西鳥海」(鳥海湖周囲)と新しい溶岩地形を持つ「東鳥海」(新山周囲)からなり、それぞれに中央火口丘と外輪山があり、1801年の噴火で出来た溶岩ドームを「新山」として鳥海山の最高峰になっている。

目指すは「新山」の頂上だ〜!

 

 
  

七五三掛(シメカケ)

きつい八丁坂の上りの山道をひたすらのぼり
この辺一帯が七五三掛(シメカケ)と
呼ぶらしい。
外輪コースと千蛇谷コースの分岐点だ。

文殊岳(2005m)
2:32

七五三掛(シメカケ)で連れと別れて
外輪山コースを来た。
谷底を歩くよりも風通しの良い稜線を歩いた方が
涼しいかも・・・と思ったが、失敗だったかも・・・・

暑い!!

左下の千蛇谷を歩いている人が米粒のように見える。



 
 


外輪山伏見岳付近から見る新山(別名、享和岳)
3:33

「伏拝岳」を過ぎて「行者岳」の標識が有った。このまま進めば「七高山」まで行ってしまう。「新山」への標識は見つからない。
左手、谷を隔ててはるか彼方に「新山」山頂と今晩宿泊する「大物忌神社」がかすかに見える。
遠いな〜!あそこまでどうやっていくんだろう?

地図を開いてみて見ると、このまま稜線を行くとまだまだ時間がかかりそう。
この辺りから下に下って向こうの神社に行く道があっても良いはずだと思って探しながら歩く。
すると突然、鉄パイプの梯子を見つけた。
ウソ!これ下りるの?地図にも道らしいもの見当たらないけど・・・

兎に角下りてみよう・・・・
荒廃した道だけど消えかけた白いペンキの矢印に導かれて
疑いながらも歩いていると神社の下に着きました。ヤレヤレ・・・・

後で地図を再確認したら(危)の印の下に隠れて今のルートが有りました。チョット〜!


 

 
  


大物忌神社
16:55

千蛇谷コースを行った連れはまだ到着してないようだ。
30人ほどの団体さんがガイドの説明を聞いている。
今から山頂にアタックを掛けるようだ。
コッチはそんな元気無いわ!

予約名簿を確認してもらって、
受付をしていたら連れが来た。

石垣の間を入って左の建物が食堂、その奥が社務所と売店
その奥が神社。社務所兼受付の前が宿泊棟。
宿泊棟はその他に何棟かあって150人は収容出来る。
 

 
  
  
    
 


生ビール!

寝る場所を確保して汗になった服を着替え、
夕食までの間の一時がこれまた登山の醍醐味。

暑い外輪コースを歩きながらも冷たい生ビールを想像すると
頑張れた。
自分への褒美にカップ一杯¥1000の
生ビール。キャッ!!

缶ビール350mlは濁ったぬるい水に浸かっていて冷えてない。
それで¥700じゃね!
300円の差だったら絶対コッチでしょ!
 
 


夕食
5:30

食べ物に不満は言わないけど・・・・
お腹すいていればなんだって美味しく食べれるし・・・
ただ、味噌汁に入っていたのは何だったんだろう・・・
今もって分からない・・・

しかし、さすが東北米どころ
ご飯は美味しかった!

全てセルフサービスで食べ残しは自分で分別して
発泡スチロールの食器はそのまま廃棄。

食べ残すほど無かったから良かった・・・
 
 
 
 
  
       
     
     
 


小屋内部

社務所兼受付の直ぐ前の棟の内部
三階まで有って一番上には若い人、
中段には男性、
一階には団体と男女混合組みといった風に
見えました。

毛布が一人二枚なので一枚は敷いて一枚は上に掛ける。
枕が無いので敷いた毛布をクルクル巻いて枕にする。

運良く梯子と梯子の間の場所に決まったので
立って歩けたし両方の梯子に手持ちの紐を張って
汗になった衣服を干せたので良かった。

大物忌神社は山の安全を祈願する参拝者の為の物、
登山客の為に在るのでは無い!と割り切れば、
何事も受け入れられると言うもの・・・




大物忌神社から見る日没
18:49

夕食後庭から見る夕陽の美しさについ見とれる。カップ一杯の貴重な水で歯磨き・・・
ここでトイレの話もナンなんですが、洋式のバイオトイレと汲み取り式のトイレが外に有りました。
他の山小屋から見ると綺麗な方でした。
 

 
   
   
  
  
    
水が豊富な山だと勝手に思ったのは何故だろう?
鉾立のバスターミナルにも水は無く、地図上の水場の印の場所にも水は全く出ていなくて
頼みの山小屋にも一滴の水も無くて500ml¥500の「氷河水」を買う事になる。


当然トイレの後も手を洗えないし、顔も洗えない。
これは予想外だった。


これしきの事でおたおたするなんて
まだまだ修行が足りないな・・・・と考えながら
夜行バスでの疲れからか
消灯前から熟睡・・・ZZZZ・・・



 
  


   

 翌朝目が覚めたのは4時頃、
窓を開けて見ると、ガスが掛かって向かいの売店も
霧の中にかすかに見える。

5:30からの朝食の前に山頂往復を計画していたけど
この霧では何も見えないだろうな・・・


 

 
  

500円以下の物って何も無いんだ!
いかん!いかん!
俗世の価値観を持ち込んでは・・・


 

 

5:14

霧の中で「生ビール」の宣伝だけが
場違いに鮮やかです!

こんな朝早くから缶ビール飲んでる人がいます!

 
 
 
 

大物忌神社

窓から右を見ると鳥居の奥に神社が有ります。
頂上付近はガスで何も見えません。
 
過去に幾度か繰り返された噴火や地震などの「天変地異」!
その度に朝廷より鎮静の祈祷の命を受け、「神階」昇進してきた。
《震災鎮静の神》と崇められている『鳥海山大物忌神社』。
 
 

  
   
  
  
                
  

チョウカイフスマ

売店の脇の石に鳥海山の固有種の
「チョウカイフスマ」が咲いていました。
 


 

   
  
    
  

チョウカイフスマ

チョウカイフスマ

鳥海山と月山だけに生育するナデシコ科の花で、絶滅危惧種に登録されています。
 


 
 
     

6:10

宿泊棟の脇から頂上に続く道を
「新山」目指して出発
荷物はカメラだけ・・・
 
 
   
   
               
      
       
  

岩の白いペンキの矢印を用心深く辿って頂上を目指す
ストックを持ってこなくて良かった。

三点確保で進む。

来た道を振り返ると足元には雪渓が・・・

 
 

 
 
 
  
鳥海山は紀元前より幾度も火山爆発を繰り返し
最近では1974年に水蒸気爆発爆発を記録しているそうです。

気象庁では、地震計1台、空振計1台、遠望カメラ1台を設置し、
そのデータを仙台火山センターへ常時伝送し、
火山活動の監視・観測を行っているそうです。
 
溶岩の山と言っても割れたそれぞれの石が大きい。
玄武岩や安山岩らしいですが
力強くて美しい岩です。

頂上への矢印は一旦下に下りると指示していますが「新山頂上」はどれだろう?
矢印が無ければ頂上がどれかまったく分からない複雑な山です。
自分が何処を登っているのか分からず、唯、矢印にしたがって這い登るだけ・・・・
 

 
 

 
 
 
 
   
 

鳥海山頂上(2.236m)
6:30

突然視界が開けて、顔の前に、ここが頂上だと分かる物がありました。
2m四方程の岩の上に、いくつか硬貨が置かれた賽銭棚と、「鳥海山」と書かれた小さな木片。
まさしくこの場所が鳥海山「新山」頂上!ワーーイ!着いた!
 


 
 
 
 
  

頂上からの眺めは360度の展望。東北の最高峰なのでさえぎる山が無い。
廻りには突起した岩の山が幾つも有り、どれが頂上であっても不思議は無いように思えます。
 


   
   
   
     

 
  
 

朝日で逆光になっている稜線は昨日歩いた外輪コースです。
 

 
 


 
 
 
 
  
 

下りも白い矢印に従って降りますが
「胎内くぐり、安産の神様」と書かれた洞窟がありました。
 
 

 
  
 
 
 

洞窟の中に入ってみると小さな石の祠が有ります。

先ほどから、ずっと人の話し声が近くで聞こえると思ったら、
外輪コースを歩いているパーティーの話し声でした。
凄く離れているのに声って聞こえるんですね!
写真は望遠で写しました。
 

 
 
 
 
 
 
 
   
  
 
  
 

雪渓から外輪コースに立ち上る蒸気 
雪渓にも足跡がついて歩けそうだけど岩場から雪渓に下りる場所が分からない。
 

 

 
 
 
 
  
  

大物忌神社の向こうに外輪コース

下りは15分位です。
 
 すっかり霧も晴れても朝露をまとった足元の花々も朝日に輝いていました。
 

 
 
 
 
 
 
 
 

イワベンケイ
 
 
 
 
 
 
 
 

イワギキョウ
 
 
 

山小屋出発
07:19

下りは千蛇谷コースを行く事にしました。
今日も快晴・・・

 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 

下り道左脇

このコースもお花畑が広がっています。
 
 

 
 
 
 
 
 

  

下り道右脇

アザミの群落です。

 左の千蛇谷には雪渓が残っています。
 
 


 
 
 
 

 
  

千蛇谷雪渓とその上の外輪コース

昨日はあの稜線を汗だくになって歩いたのでした。 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

雪渓を渡って振り返ると今朝登った新山が「又おいで〜!」
と言っているように見えました。

 
 
 
  

 
    

ミヤマダイモンジソウ
 


 
 
  
  
 

ヤマハハコ

ミヤマキンポウゲ
 

 

 
 
 
  
 

シモツケソウ

こちら側の登山道も花盛り

 
          
 
 
 
 

 

ハクサンフウロ
 
 
 

分岐
8:45

昨日はこの分岐で右の外輪コースに行きました。 
 

 
 
 

 
 
 
 

ここではチングルマはもう終ってるんですね
しかし、あの可憐な白い花が
こんな姿になるのが不思議です。

下り道
 

 

 
 
 
  

下り道

トウチソウとハクサンシャジン 
 


 
 
 
 
 
 
  

お花畑



 
 
 
  
 
 

 

 

イワブクロ
 
 
 

  
 
 

右下の御田ヶ原をそのまま真っ直ぐ登れば、眼下に鳥海湖を望む御浜神社、
分岐を左に山腹を行けば鳥海湖に着くコースです。

鳥海湖を目指します。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
  

 
 
 
 
  

シロバナクモマニガナ
 
 
 
 
 

 
 
 
 
    
 
 

チョウカイアザミ

鳥海山固有種のアザミです。
準絶滅危惧種になっています。 
 
  
 
 
 

鳥海湖
9:40

鳥海湖に着きました。山の上稜線に御浜神社が見えます。
私達は途中で左に折れて愛宕坂を下り河原宿を経て鉾立駐車場を目指します。

ところが大失敗!!
河原宿で右に分岐して鉾立に下るはずが、直ぐ前を歩いていた老夫婦が見かけによらず足が速くて
脇目も振らず下っていくのについ、後に付いて真っ直ぐ下ってしまいました。
後ろで連れのオーーイ!と呼ぶ声は耳に入ったのですが、
まさかコースが間違ってるとは夢にも思わずそのまま老夫婦の後を下って行きました。

 
 40分も下った頃、携帯が鳴って電話で怒鳴っていました。
そっちに下りたら大平口だよ!戻るか、そのまま下って大平口からバスに乗るか
ブルーラインを鉾立まで戻るか・・・・ガーーーン!

今下りて来た道を又登り返していたら途中で男性の二人連れと出会ったので
12:55分の鉾立発のバスに乗ると言うと
今から分岐まで戻って鉾立に下るのではとても無理だろうと言われたので
最悪次の15:45のバスでも仕方ないと腹を括りました。
 
  


 
 
 
 
 
 
 
  

白花ハクサンシャジン
 

 
 
 
 
 

  
  

クルマユリ



足が痛くなってきたので道に座りこんで休憩。

 

 
 
 
  
 

12:10

ブルーラインが見えてきました。
頑張ればバスに間に合うかも・・・
 
 
 

鉾立駐車場着
12:20

フ〜〜!連れと再会
 

 

 
 
 
  

売店でスパッツだけ脱いで身軽になり
連れが頼んでくれた氷イチゴを
物凄い勢いで喉に掻き込み
やっと生きた心地になりました・・・

12:55発のバスに乗って次の停留所大平口に着いたら
先ほどの二人連れの男性が乗り込んで来た。
「間に合ったんですよ〜!」と言ったら
目を丸くしていました。


初めての東北の山「鳥海山」。遠くから眺める印象とは全く違う険しい岩山でした。
それとは反対に高山植物の花々の多い事と言ったら他に類を見ないほどでした。

何処を見てもお花畑で、チョウカイフスマや、チョウカイアザミ等の固有種にも会うことが出来、
大物忌神社の山小屋とか、頂上の岩群の美しさ等これまでに無い山行を経験し、
最後にルートを見誤ったのが大きな反省点ですが、忘れられない山旅となりました。

─ 完 ─



 
 
番外編
 
酒田に着いたら先ほどの二人連れの男性は、これから続いて朝日連峰に登山に向かうのだと酒田駅前で下車しました。
私達は終点のバスターミナルに戻り、荷物を置いて市内の「旧本田家跡」見学に行き、
その後、海鮮市場で遅めの昼食兼早目の夕食。刺身定食が720円は安いです。
連れは大きな「岩牡蠣」を市場で¥500で買って食堂に持ち込んでほおばっていました。

その後直ぐ近くの「温泉スパガーデン」で汗を流し、東京に戻る夜行バス「夕陽号」の出発まで
スパガーデンの大広間でテレビを見ながら転寝をして時間を潰しました。
丁度酒田の花火大会の日で近くでドーンと打ち上げ花火の音がしますが、見に行く元気がありませんでした。
タクシーでバスターミナルに戻り10:15発東京行きの夕陽号のシートに体をうずめました。