虫 倉 山
(むしくらやま)
1378m

2007.05.04

2007年最初の登山は長野県北部の「虫倉山」。カーナビに「虫倉山」と入力し、指示に従って首都高〜関越〜長野道〜国道31号線まで来たものの、虫倉山には登山コースが何箇所か有り、さてどこが登山口なのか困り果て兎に角、山に向かって進めとばかり、脇道に入って少し走った所でやっと虫倉山の地図が有ったが大まかな絵地図なので確信が持てない。野良仕事をしていたおばさんに聞いてみた。「ここからでも登れるが、もっと先に行ったほうが楽に登れる道が有るよ〜!」と教えてくれた。さあ行って見よう!

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おばさんに教えてもらった中条村、太田地区に着くと、
大きな看板がデーンとあって、水車小屋の有る
のどかな山里の風景が広がっていました。
地図拡大
 
 


水車小屋の前が広くなっていて車が3台くらい止められるスペースがあったので、そこに車を止めて不動滝まで歩く事に決めた。
登山口まで林道歩き45分だ。下りに「さるすべりコース」を選ぶと、車を止めたこの場所に戻って来ることができる。

同じ頃、車で着いたご夫婦は、そのまま車で不動滝まで行ってしまった。車で不動滝まで行くと、下りも同じコースを下りなければ、又、登り返して車の場所まで歩く事になるので、ここは考え所だ。
 
 



知らなかったけど、ここには、虫倉神社という由緒正しい神社が有るらしい・・・・
拡大画像で説明をご覧下さい!)

山姥伝説も有って、ここの山姥は鬼無里村の山姥と違って、子供を助ける優しい山姥で、昔から村人に慕われているらしい。
なんだか、俄然興味が湧いてきました。
 
 


5/4  09:45
太田地区、出発

中条村は北に鬼無里村、戸隠村と隣接しているせいもあってか、伝説が今尚人々の生活と深く密着している山里のようだ。
棚田の中に、横溝正史の映画にでも出てきそうな大きな家が・・・・
 
 



五月の風に頬を撫でられながら進むと、道端には道祖神がそこかしこに有り、折りしも、明日は端午の節句、鯉のぼりが各家々の空を泳いでいる所を見ると、過疎化が進み老人だけの村が多いい昨今、ここ中条村はその心配は無さそうだ・・・
 
 



10:25 不動滝

ここまで来ると滝の手前に車が4台ほど止まって、
出発準備に忙しい人々が何組かいる。
G・W後半と有って子供連れが多い。

滝は落差20mも有るだろうか勢い良く落ちている。
 
 




滝を左に見ながら横切ると、すぐに
虫倉山登山口の標識が有った。
登山カード投入箱が設置されている

「熊出没注意」の看板が大きく出ている!
ほんとなの〜?怖〜い!
 
 



登山口をやり過ごし、少し行った場所に真新しい「公衆トイレ」が有り、周りには車が5台ほど止められるスペースがある。

トイレは水洗でトイレットペーパーも備え付けだ、イヤーー驚いた!トイレの前に水道の蛇口が有り、地図ではその水も水場のマークが着いているので、この水を汲んで行くことにした。
気にしない!気にしない!
 
 





    登山道は良く整備されて道端の花々が、
    日頃の気ぜわしい気持ちを忘れさせてくれる。







            エンレイソウ
 
 





この山はスミレの花が多いようだ!
薄紫のスミレの花が、
あちこちに群れ咲いている
 
 


11:20
登るにつれ気温が上がってきて、急坂をあえぎあえぎ登る背中を、これでもかと照らす太陽を、恨めしく思いながら顔を上げると、頂上まで後一時間の標識・・・・どっと疲れが出た。

風が無いので、流れる汗が眼に入って滲みる・・・・
ここが、高福寺から登ってくる天神城コースとの合流地点だ。
空が近くなった、尾根道は近い頑張ろう!
 
 

11:30
尾根道に出ると風が通り、気持ち良く進むとすぐに立派な東屋があった。座り込んで昼食の準備をしているグループがいる。

カラマツの木々の隙間から雪を被った北アルプス連邦がすぐ手の届きそうな近くに見える!わーーッ!

いやーーッ!気持ちいいわーーーッ!
 
 


11:50
東屋からすぐそこに見えた頂上は、それから4回くらいアップダウンを繰り返して、やっとたどり着いた。

頂上では、それほど広くないスペースに10人くらいの登山者が思い思いに昼食をとりながら、360度の展望を楽しんでいる。

意外なことに大きな望遠鏡が設置されていて無料だ。私は小型の望遠鏡を持っていたのでそれを使った。
 
 



天狗平〜小蓮華山〜白馬岳〜杓子岳〜白馬鑓ヶ岳も稜線がくっきりと見え昨年の白馬岳登山を思い出される。その先には、今夏登山予定の鹿島槍ヶ岳の双児峰が美しい姿で空に聳えている。
 


さらに右の方に目を移すと、戸隠連邦の険しい山容が、おいでおいでをしている。そのうち行くから待っててね〜!と心の中で叫んだ!

明日から天気が崩れる予報のせいか、靄が掛かって、くっきりはっきりとは行かないけれど、この展望の、なんと素晴らしい事か・・・・
 
 



頂上でカップラーメンとおにぎり、コーヒーの昼食中に、さるすべりコースから登ってきたグループが到着した。かなりハードな登りだったらしい。
「下りの方が大変よね!」な〜んて話しているのが聞こえた。ドキッ!

・・・たいしたこと無いでしょ!・・・
と、密かに希望的観測を持ち下り始める・・・が・・・

なんじゃ、こりゃ!登山道とは名ばかり、痩せ尾根に鎖がぶら下がっているだけ!道は何処?道は!岩と木の根と鎖だけ!それがちょっとの間じゃなくて、これでもか、これでもかと続く!気持ちを張り詰めてないと両側は切り立った谷底。低山だと甘く見ていた事を後悔する・・・・と共に最近の体重オーバーをも後悔!真新しい鎖と太い縄も付いているので切れる心配は無いだろうけど・・・・・トホホォ・・・・
 
 

13:40
やっと鎖場が終ったと思ったら今度は足が止まらないほどの急斜面を太ももに違和感を覚えつつ、引力に従って落ちて行くのみ・・・・

杉の大木に驚きながら、ほっと息を付いた時、虫倉神社の奥の院の祠が大きな岩を背にしてあった。お参りする余裕も無く通り過ぎる。
 
 

シロバナエンレイソウ

やっと普通に歩けるようになり道端の花にも気がつくようになった。


  
13:55
突然登山道は神社の裏に下り立ち、大勢の村人が境内の掃除をしたり、お供え物らしい物を並べたりしていた。
急に現実に引き戻された感じ!明日が虫倉神社のお祭りなのでその準備だという事だ。「明日だったらお神酒をご馳走できたのに残念だねぇ!」と笑って言われた!ほんとに残念!

ここ中条村の虫倉神社は、虫倉七社のうちもっとも古く「総社」と呼ばれる子育ての神様で、山姥を祭っているそうな。へ〜〜!そうなんだ〜!
昔の男の子は「ととっ毛」と言って坊主頭のうしろの毛を少し残して伸ばしていました。
子供が水に溺れそうになった時や危ない時に大姥様はこの「ととっ毛」をつかんで助け上げてくれたそうです。
へ〜〜!そうなんだ〜!
村人は親しみを込めて、今でも「山姥」を大切にお祭りしているんですね!
  





村人の1人が境内の横の石碑の説明を詳しくしてくれました。
由緒正しい神社なのですね!

石碑拡大
   





この額は真田の殿様の直筆だそうです。

虫倉神社と虫切り鎌の由来
  




拝殿の額も真田の殿様の直筆らしいです。
三つの鎌が図案化された紋は「虫きり鎌」と言って、この鎌で虫封じをするんですね!(虫封じって今でもやるんでしょうかね)

 
 
イカリソウ 


虫倉神社全景
  


虫倉神社の急な石段を下りて暫く行った所に
駐車場が有り、石灯篭が有りました。
ここからもう神社なのですね!

 

日本の原風景とも言うような山懐に抱かれた太田地区。花と緑の風に包まれて、こんな穏やかな村で暮らせる人々はなんと幸せなんでしょう・・・・この素晴らしい風景を何時までも大切にして欲しいと思いました・・・・
勿論、私達のように他所から訪れる人も大切にこの美しさを守り、感謝をしたいと思います。
 
 

14:40
一本の木なのに花と葉の部分が別々になっています。
珍しい!拡大画像
 
えーーー?虫倉山?何処よそれ!と、最初は乗り気でなかった今回の登山でしたが、当日は天気に恵まれ、薫風を身に纏い頂上に立った時の眺望は3000m級の高山にも匹敵するほどの感動を覚えました。下りのさるすべりコースも、緊張しましたが、今となっては良い経験となりました。それと、虫倉神社と、山姥のお話は、伝説大好きな私にとって、非常に興味深く村人の話しに耳を傾け、初夏の一日、命の洗濯をした思いでした・・・・・・